このレビューはネタバレを含みます▼
元々は雇用主の息子とねえや(女中)という関係の2人が、時間をかけて夫婦になっていく過程が丁寧に描かれています。親やら周囲の反対も反感も特になく、むしろ祝福されて一緒になってるのに、肝心の二人が元の関係から夫婦らしくなるまで時間がかかるところがリアリティあって目が離せなくなりました。作画とかコマ割りや角度とか、全部いいのですが、特に人物描写が素晴らしく勇吾が一途に大事にふきを想っている描写に胸を打たれました。ふきはそもそも身分差があるため、最初は勇吾をそういう対象としてみておらず、そこら辺のすれ違いから2人がどのように心を通わせていくのかが前半の見どころかなと思います。
表情の変化・身体表現・背景に厚みがあって、登場人物に本当に血が通ってる感じがします。当然“絵”だし漫画特有のデフォルメもあるのですが、脳内で実写に補正されてる感覚があり、良質な昔の映画を観ているようです。時代は違うけど勇吾とふきが本当に生きて隣に住んでるような感覚になる気がして心配でずっと見守りたくなってしまう。名前だけでまだ出てきてないキャラがいて…その人いずれ出てくると思うけど大丈夫かなぁ。二人がずっと幸せに暮らせますように。