ふったらどしゃぶり～When it rains， it pours～ 完全版
一穂ミチ/竹美家らら
抱かせてもらえない男と抱いてもらえない男
ネタバレ
このレビューはネタバレを含みます▼
同棲中の彼女から拒否られレスを強いられている萩原一顕が､違う部署の同期•半井整と会話を交わすようになります｡同時に､たまたま萩原の送ったメールが半井に届いたことから､二人はお互い知らずにメールをやりとりするようになります｡半井は学生時代に両親を亡くしてメンタルを病みましたが､幼馴染の藤澤和章がつきっきりで支えてくれて社会復帰出来たという過去があります｡プロダクトデザイナーの和章とタワマン高層階で暮らす半井は､心身ともに和章を求めているのですが､和章は決して半井の求めには応えないのでした｡萩原と半井､求めても身体の繋がりを得られない二人がメールならではの明け透けなやりとりを重ねるうちに､やがてメールの相手が判明します｡一緒に暮らして戯れ合うのはいいけれどセ◯クスは嫌という女､良心の呵責で踏み切れないけれどもすぐ側で管理したい男､拒否されて持て余された性欲が暗く澱んだ気持ちを呼び寄せます｡作者さまらしく緻密に構成されたお話はずっしりと読み応えがありました｡合間合間に降る雨が､時には激しく､時には優しく二人の行き場の無い心を溶かしてゆきます｡『メロウレイン•降ったらどしゃ ぶり』は二人の甘々なその後を綴った短編集です｡半井の元彼•和章のスピンオフ『ナイトガーデン』もあります｡完全版がお勧めです｡
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