絢爛たるグランドセーヌ
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絢爛たるグランドセーヌ

Cuvie

人体デッサンは理想の身体像があってこそ

2025年5月21日
作者がバレエ経験者ということで、期待を持って読み始めました。主人公が子供なので、コマ内のポジションやポーズが曖昧なのは仕方がないと思います。ですが、これを読んでバレエを始める子供もいるかと思うと、カバーや扉絵、補足のページなどの模範演技ではやはり踊り手としてあるべき身体のイメージはキチンと伝えて欲しいです。頭までピンと引き上げられた上体、引き締められた体幹と開かれた胸部と背中、そのエクステンションが肘まで通ってラインを作る腕。腰から始まったアンデオールが拡大しながら踵や足先に伝わり、引き寄せられた両膝。人間の身体性を考えると最も健康とは言い難いけれども、バレエとしての美しさを体現する究極のフォルムを描いて欲しいのです。それが残酷だと思う人は、バレエは遊びで留めておくべきということを教えてくれる絵柄が重要だと思います。
そして、13歳の少女はまだ子供です。この年齢の人に大人並みのヴァリエーションを踊らせることは、長い目で見て決して良いことではありません。そういう日本のバレエ界の歪みもちゃんと描いて欲しいです。
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