このレビューはネタバレを含みます▼
作者様の描かれる世界観に物凄く惹かれたので、“心音”を拝読後にこちらの方も。
この作品も同性が恋愛対象である男性たちのお話ですが、やはりBLではなく青年漫画にカテゴライズされています。そして想像通り、BLの枠に収まらない素敵なお話。
会社員の本間は前日に自転車で転び、右頬に絆創膏を貼って出勤する羽目に。通勤途中に通るアパートの窓際に、色々と突っ込み所満載のおかしなクマのぬいぐるみが飾られているのを見つけます。
そのぬいぐるみの右頬は、今の自分と同じように傷が付いているのでした…。
ぬいぐるみが自分と重なり、親近感を覚えたのか通勤のたびに話しかける本間。
端から見たら怪しさ全開ですが、特に何事もない普通の日々が過ぎていく描写がとてもほっこりして好きでした。朝と夜、そして冬から春への季節の移り変わりが、温かみのある作画で描かれています。
三月には同僚が結婚し、「俺も大切な人が欲しいなぁ」と寂しそうにぬいぐるみに話しかける本間。そのシーンには何だか胸がギュッとなりました。
ある日ぬいぐるみがなくなっており、「?」となっているところにそのぬいぐるみをゴミに出そうとしていた男性が…。ここから二人が知り合い、深く関わっていくことになります。
おかしなぬいぐるみが二人を繋いだ、ちょっとロマンティック(?)で人情味溢れるお話。
この作品もオールカラー、読み応え十分です。作者様の体格の良い男性の描写が私にはドンピシャでした。