悪役令嬢の中の人～断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします～
白梅ナズナ/まきぶろ/紫真依
このレビューはネタバレを含みます▼
よくある転生・憑依ものじゃなくて、転生した子が一旦離脱して、その元々の本人が転生した子のために生きる話で、中々ない設定がまず面白かった。
それだけにとどまらず、普通に読んでてうっかり涙ぐむくらいに内容が良い。
こういう類の胸に熱く迫る感じは、約ネバ以来初めてだった。
エミとは違い、元々が悪役令嬢なだけあって基本的に狡猾さや残虐性もあるけど、その分エミよりも聡明で冷静なのでその手腕は見事だし、いろんな人との交流を通して、その心に触れて多少は自分自身の気持ちとして相手に惹かれて絆されていくのかと思いきや、相手の不憫な境遇や好意や温かさに心動くことはなく、その全てをエミのレミリアのために利用するっていうちょっとサイコパス的なメンタルの持ち主。
ここが本当に他の作品と違って中毒性あって面白い。
とはいえこれは少女漫画だし恋愛要素もあるわけで、エミ至上主義のレミリアがどうやってアンヘルと恋に落ちるのか、それとも再びエミが憑依してくっつくのか、着地点が全く見当もつかないけど、ピナ周辺以外のみんなに幸せになって欲しい。
物語の良質は勿論だけど、読み始めてすぐはあまり美麗とは言い難いシンプルで子供っぽいタッチのイラストだなと思っていたのだけど、これが全然違って。
もう本当にびっくりするほど画力が高い。
怪異的な表現力があまりにも見事で、「あれ？これってホラーだっけ？」と勘違いしそうになるくらい不気味で、裏バイトや約ネバ的な上手さがあった。
これ読んじゃうと、転生ファンタジー系で他に楽しめる作品に出会えないだろうな、と思うほどすごく面白い。
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