このレビューはネタバレを含みます▼
未散先生の作品の中で気になっていたもの。立読みでは伊勢島が八雲を必要としている感じだったけど、読み進めると八雲にも伊勢島が必要。なぜなら八雲は空っぽだから。ミトさんの絵のシーン、泣きました。自分が空っぽなんだと思い知らされる。だからこそ伊勢島が必要。
ここからは私見ですが。やりたい事のない空っぽな人間といっても、入れ物である外側はあるわけですよ。風船みたいなものじゃないかと。風船の中身は空気で空っぽです。でも風船の価値は外側の色や形。中身にしか価値が無いと何故言えるのか?外側に価値をもつ存在がいても良いのでは。求められる色形に変化できる柔軟性は素晴らしい。
さて、八雲は伊勢島の職場での立場・環境の改善のためにお弁当もって乗り込みます。その結果どうなったか?こういうことが出来る能力は伊勢島のような人間には無い部分。ばっちりキメてイケメンな外側を最大限に利用。
絵の好みは分かれると思いますが、何度も読んでしまう魅力のある作品です。読むたびに同じシーンで泣くんですけど。人はみな欠点があって、でも誰かと寄り添えばやっていけるって希望が湧きます。