仕立て屋と坊ちゃん
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仕立て屋と坊ちゃん

大島かもめ

僅かなデレにこんなにも感動するものか

ネタバレ
2025年6月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 高宮くん20歳大学生。
7歳で父の行きつけのスーツ屋さんのテーラー片山に恋をする。それから13年経っても熱い想いは変わらずせっせと片山の元へ通う毎日。育ちのいい人って素直ですよね。それと言葉遣いが丁寧。敬語も正しく使えるし。「お相伴させてください」とか私大学生の時使ったことあったかなあ。いつもニコニコして元気で常に全力で片山さんへアプローチする姿は時に可笑しく時に健気で、高宮くん私は大好きです。

一方いつも眉間に皺を寄せている(ように見える)片山さん42歳。
高宮くんの求愛に対し清々しいほどそっけない。まあそりゃそうよね、お得意様の御子息、しかも同性で22歳下。むしろすんなり受け入れる方が問題でしょう。と思ってたら!カラダは結んでしまうんかい!
すっかり交際が始まった気になっていた高宮に「付き合っているわけではない」と塩片山。
高宮くんの長い戦いの始まりです!

1巻2巻かけて片山のツンツンツンツン→ツンツンツンデレ→ツンツンデレデレ…となる様子を楽しむ話ですかね。いやラスト付近でもデレを探すのは難解な間違い探し並みに難しいけどね。その代わりと言ったらなんだけどちょいちょい挟まる2人の濃厚なセ、、は見ものですね。片山のこの表情、まさに目は口ほどに物を言うってやつですか。こんな切ない営み見せられちゃ、2人の関係はただのセ◯レとは言いたくないですねー。

2人は一旦物理的に離れて正解でしたね。片山には自分で気付いて欲しかったから「僕には帰りたい場所がある」ってはっきり言ってくれた時嬉しかったな。
空港にて、入社前にしてすっかり大人っぽくなった高宮くんの迎えを受けて、その胸に顔をうずめる片山。その安心した表情。感動的なエンディングでした。
番外編もすごく良かった。特に遊園地の話。相変わらず鉄仮面の表情ばかりだったけど、なぜ遊園地だったのかその真相を知った時、片山の優しさにくううッ!となりました。やっぱり大人だな、ちゃんと覚えていてくれたんだなって胸がじーんとなったよ。
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