割れたカップを戻すには【単行本版】
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割れたカップを戻すには【単行本版】

ヲリコリコ

センスの塊!

ネタバレ
2025年6月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「愛しものに蓋」を先に読んでいてそれが素晴らしく良かったので、初コミックスであるというこちらをずっと読みたいと思っていたところ値下げとクーポン併用のチャンスが来て飛びつきました。

入れ替わりものは昔からあるけど実はあまり好きではなく。やはりフィクションに過ぎ冷めてしまうからです。ありがちなのと少し違うかなと思ったのは2人の体が入れ替わるのではなく1人の人間(桔平)の過去(18歳)と現在(28歳)が入れ替わったという点。それでも充分あり得ない話なんだけど、この作品の大きな魅力を得るためには確かにタイムスリップはいい設定かもと思いました。それによって桔平は圭太の本音が聞けたり辛い過去を知ったり、当時の気持ちを思い出したり反省したりで改めて相手の存在の大きさを知ることが出来たからです。

タイトルだけ見た時は、まるで今の2人は修復不可能なまでに壊れてしまってそれを元に戻すためのタイムスリップ?と思っていたのだけど、そうではなくて基本仲良し。ただ仲良しが長過ぎて家族みたいになってしまって、レスではないんだけど素面では出来なくなってしまった桔平。
そんな問題を抱えていたものだから(?)過去も現在もセ、、のシーンすごく多い!ほれ何か気付け!と作者様に言われているみたい(気のせい?)
相手は同じ人だから浮気…ではないはずだけど何となくいけないところを見ているような不思議な気分でした。最高だったけど(笑)
まんまと大事なことに気付いた桔平、元に戻れたら圭太に伝えたいことがあると決意する。
入れ替わったのが桔平だから彼主動の場面ばかりかというとそうでもなく、バランスよく圭太サイドもあります。これが泣ける。辛いだけではなくて「桔平湯」は笑えるわ泣けるわ。シリアスな場面なのに表面に浮く桔平君に笑い転げそうになり、その後精神ズタボロだった圭太の体と心が温まり「あったかいなぁ」と涙するところでもらい泣き。作中で一番好きなシーンです!

過去の2人と現在の2人の、2人なんだけど4人出てくるからごちゃごちゃしそうなところ、全く混乱することなく読めました。2人の心の動きも上手に描きながらきれいに1冊にまとまっています。お見事の一言。迷うことなく作家フォローさせていただきました。今後も目が離せません!
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