虚空の月【コミックス版】
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虚空の月【コミックス版】

英田サキ/西本ろう

未完のままの完結作品

ネタバレ
2025年6月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 制作半ばで、原作者さまが逝去なされたこと、謹んでお悔やみ申し上げます。
1巻には漫画1〜6話と番外編小説「月下の独白」収録。
2巻には漫画7〜8話と結末までの原作者さま草案、お二人のインタビュー、1巻の番外編小説のコミカライズ版が収録されてます。
攻めは元刑事で、妹の死の真相を突き止めるために受けの志堂に近づきます。この志堂がいろいろ可哀想な過去を背負っていて、でもそんなことはおくびにも出さずに強くて綺麗です。
志堂は、めっちゃ素直じゃない、心を隠しているので、冷たく見えるんですが、比賀が現れたことで少しずつ氷みたいな心が溶けていきます。甘えちゃえばいいのに甘えられない。とてももどかしいふたりです。
ハッピーエンドまで見られたら嬉しかったのですが、それは叶わず、草案という形で今後の展開、志堂の過去、そして結末が描かれてます。
きっとこのまま話が進めば、自分を大切にしない志堂が生きていきたいと思う、涙を流すほど心動かされる、比賀の愛あるセリフがあったのではと推察します。
それが書けるのは原作者さましかいなかった。草案だけで話を継続するか否か、編集部さまも悩まれた結果、このような形で完結となったようです。
最後まで話が見られなかったこと、とても残念に思います。原作者さまがいてくださったらという思いがただただ募ります。
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