サトリ令嬢の見透かせない感情【初回限定SS付】【イラスト付】
朱里雀/八美☆わん
このレビューはネタバレを含みます▼
コミカライズの続きが気になり、原作小説に流れてきた者です。コミカライズを読んだまでの感想は、アダリースがとても凛々しくて正義感の強いカッコイイ主人公という印象でしたが、小説に入り、読み進めてみて見れば、良い意味で印象がガラリと変わりました。心の強い女性というイメージが、本当は臆病だからこそ、それを隠し、悟られないように自分を強く見せている。そして素直ではなく少々負けん気質な所がある分、ディートリヒからの謝礼も素直に受け取る事ができない。もちろん、心の声が聞こえてしまっているからというのもありますが、それでも、負けず嫌いな所も関係していると思います。これはディートリヒにも言える事ですが、お互いに素直になれないから、相手に"言わせたい"似た者同士の二人です。ディートリヒに関しても良い意味で期待を裏切られました。初っ端からヒーローに似つかわしくない、心の声、妄想を繰り広げるディートリヒに、例え容姿がカッコよくとも、あまりキュンとする瞬間が無かったのですが、自分が気づかぬ間に初恋をし、いじらしくアダリースに声を掛け、右往左往する様子は読んでいて純粋に応援したくなりました。そしてそれは佳境に入れば入るほど、ディートリヒのアダリースに対する想いの強さ。カッコ良さが際立っていきます。この物語は、男女の恋模様はもちろんですが、それと同じくらい、家族愛、友情愛を凄く感じました、アダリースの家族、公爵家と皆、魅力溢れるキャラクター達ばかりで嬉しい反面、アダリースとディートリヒがあまりにも誠実過ぎたからこそ、二人の婚約について真実を話、婚約解消のままの状態で終わってしまった事にモヤモヤが残り、その他にも、最後の最後に思わぬ人物の正体と言いますか、種明かしと言いますか…急な情報過多に続きがほしいと思いました。次巻でちゃんと正式に二人が結婚して、なんの不安分子もなく、ラブラブな様子を描いた話が読みたい…リリアナ達の結婚式の秘話も良かったけれど…読者が読みたいのは、主人公達の結婚なのだよ…それと、とある人物についてもう少し深堀して欲しい…
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