このレビューはネタバレを含みます▼
書店でバイトする高校生の富士日和は、唯一のバイト仲間である恋之介に興味津々。強面ヤンキーなのにかわいいPOPを作り猫を愛でるギャップの塊と仲良くなりたいと思う日々。ようやく話す間柄になったある日、店長の佐久山に呼び出される。なんと恋之介はヤ◯ザの組長の息子で、佐久山は教育係、この書店は日和との恋を成就させる為に開いたとのこと。奥手すぎる恋之介の為に、クリスマスまでに恋人になれと断れない提案をされる日和。恋之介と懇ろになる秘密の作戦が今始まる――。
試し読みで期待しましたが、展開優先で心情描写が置き去りにされているように感じてしまいました。
日和は、ヤ◯ザの提案を断れず、男同士の新世界に戸惑い、気持ちの整理がついていないはずの段階で、翌日には恋之介のことをかわいいと思い頬を赤らめる。
更に次のページではもうクリスマス目前。イブ当日も佐久山のミッション遂行を意識していたのに「恋してたんだ、ずっと前から」と告げるのは、ちょっと唐突に感じました。
自覚が遅かったとも取れるかもしれませんが、ずっと前から恋していたことを示す描写が作中にない以上、都合良く感じてしまい、取り繕ってるようにも映りました。
そして、自然消滅の危機をもたらす椿先生。高校生相手に挑発したり翻弄したり、悪い大人ぶって虚しくならないか心配です。佐久山との関係を匂わせてますが、印象が悪くて個人的にはふーん…という感想に(笑)
椿先生に惑わされたあと、すれ違いからの急展開も気になりました。一コマで音信不通になり、いつの間にか受験や進学、上京の準備が始まっていて、思わずページを戻して確認しました。その間の心情がわからないまま、一生を共にしたいという覚悟や愛の告白に至るので、もう少し心の動きが描かれていたら、私のような読解力のない読者にもありがたかったです。