雪の妖精
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雪の妖精

芹澤知

寒い冬の温かいお話

ネタバレ
2025年6月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読み終えた後思わず、うわあ〜っと感嘆の声を上げました。読み進めるほどに、読者の自分も、雪がとけないでほしい、と願ってしまうくらいにはいいお話でした。一日ごと、季節が進むごとに、二人の関係も一歩ずつ進んでいき、相手に見せる表情、相手に向ける感情も変化していく。けれど春がきたら終わってしまう、飛び立ってしまう。春樹さんにとっては、雪の降る冬の季節は複雑なものなのに、それがどんどん名残惜しいものに変わっていくのを感じるのが、切なくも愛おしい描写でした。成美さんの情の深さも、それに付随する寂しさも、優しいからこそ胸が苦しくなります。だからこそ、二人が思いを結ぶことができて、繋がることができて、最後は万感の思いです。自分が、物語の全体を通して優しく感じられたのは、主役のお二人の人柄を感じられるような、温かい関係の登場人物で彩られていたからかなと思います。本当に良かった、それしか出てこない。
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