花嫁の座を奪われた忌み姫は楽しい亡命生活はじめます!
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花嫁の座を奪われた忌み姫は楽しい亡命生活はじめます!

古知屋/長月おと

Web系『替え玉花嫁シリーズ』の良作。

ネタバレ
2025年6月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 本当に多い、替え玉、入れ替わり設定。、、ついに『替え玉花嫁(令嬢)シリーズ』と私的に分類・命名しました(笑)。

 替え玉設定にはどうしても無理がともないます。下手すれば物語の世界観を壊してしまう大技設定です。そして『替え玉行為』は人(and社会)を欺く【犯罪】です。
 この作品では、冒頭で影武者侍女が本物と強制的に入れ替わります。この展開はgood! [犯罪行為をしたのが悪役]、実にわかりやすい設定で、ヒロインは完璧に被害者です。
他の『替え玉令嬢シリーズ』はヒロインが替え玉にさせられるパターンが多く、犯罪行為に加担させられるヒロイン側の自己弁護に無理無茶が多く、、もれなくシラケてました。
 ただし、Web系原作らしく、そこに至るまでの経過はツッコミどころ満載ですが、(笑)。(痣あり王女を宮廷ぐるみで忌み嫌うなら、誕生後、里子にだすなり、王籍剥奪するなりしてない?、、そんな王女に公務をさせる? 外部に出さないのなら、影武者そのものが必要ないのでは?etc。)

 けれども、この作品はこの[侍女の犯罪]以降の展開が無理なく自然。ヒロインが直ぐに正体を名乗り出なかったのも納得できます。訳ありヒーローの登場、、帝国が痣あり王女を王太子妃に求めた目的、、、Web系原作では中だるみ無くクライマックスを迎えます。

 また、ヒロインが自らの恋心を自覚してからのコミュ力と行動力はイチ推しです。(なろう系特産の卑屈ヒロインや、超鈍感恋愛脳ヒロインではありません。)
 ヒーローも溺愛系名物【即恋堕ちツンデレヒーロー】とは少し趣きが異なります。

 私見では【替え玉設定】は大人の恋物語にはそぐわない設定です。幼いキャラデザにした作画も成功で、物語の世界観に合っています。ヒーローの家族も心優しく、何よりも王子様が[本物の王子様]なのもポイント高いです。やっぱり、ファンタジーは勧善懲悪のハッピーモードでなくっちゃあ!

 この作品のWeb系原作は『替え玉花嫁シリーズ』の傑作です。制作者様、原作の世界観を尊重しつつ、二人のいじらしい恋物語を描いてくださることを楽しみにしております。
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