ナンバーワンの飼われ犬
」のレビュー

ナンバーワンの飼われ犬

いさき李果

想像と余韻を感じさせる作品

ネタバレ
2025年6月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 店のNo.1ホストの椿は、客に逃げられツケ代の借金に動揺していた冬ニに金を貸し、部屋においてくれると言う。しかし、代わりの椿の頼みは、リハビリセ◯クスの相手。しかも椿は、仕事の顔とプラベを完全に分離し、仕事以外に無気力で、異常な程に生活力を失って部屋は散らかり放題。プラベが破綻してる素の椿の姿に冬ニは驚き、その上すぐに機嫌の変わる分かり難い態度に戸惑いながら、家事の世話と椿との色事を繰り返す日々が始まる。
この作品は、冬ニの気持ちはずっと分かりやすく描かれているので、椿のこうなった原因の過去がチラつきながらも全貌の見えない戸惑いと謎を孕んだ生活を、冬ニと共に感じながら追っていけて、とても面白い!リアルな二人の生活に対して虚構の夢の店内では、椿の視線や非日常の雰囲気が印象的に描かれ、見えない人間像や背景に味わいや余韻が感じられ、感覚にも訴えてくる作品。
椿に振り回されながら、徐々に惹かれていく二人だけが共有する世界が面白くて、話に惹きつけられて読む手が止まりませんでした。
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