好きの先のキミのこと
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好きの先のキミのこと

佐倉しいね

高校生の震える本気の恋心

ネタバレ
2025年6月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 結婚して子供は3人、なんて将来設計もなんとなく頭に描いている、同性には恋愛的に全く関心のない男子高校生の悟が、突然同学年のモテる同性に好かれて毎日毎日、人前でも好きだとアプローチされる。周りの女子からは嫌な目で見られるし、振り払ってもくっ付かれる。もうやめてくれ、となるのも当然で、キツい言葉が口から出てきたり。そんなリアルな難しい状況から、簡単に絆されるでなく、相手の本気の恋心が心に響いてくるまでが、違和感なく描かれていて、二人の恋に落ちる顛末に引き込まれる作品でした。
本気で好きで、悟の言葉に傷付いても簡単に心変わりするような気持ちではなく、悟の心も大事にして、好きだから迫ったり、好きだから怖くなって尻込みしたり、そんな一途な姿が悟の心に流れ込んで、振り向かせていく。藤堂くんの真剣な気持ちが悟の心に変化を与える過程がすごく良かった。触れてしまったら、明日別れようて言われても出来なくなるから怖いと震える、ノンケと一時的に寄り添えた喜びと苦しみも切なくて、藤堂くんの気持ちが沁みてきます。色々な心の波立ちを経て、ハピエンになった二人のこれからを読みたいです。
藤堂くんが悟に恋した始まりも、巻末に描かれていて、人が恋に落ちる描写もリアルで良い。。
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