風の色まで憶えてる
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風の色まで憶えてる

きみの隣が春だった

ネタバレ
2025年6月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 一目惚れした瞬間を捉えたような、美しい表紙に惹かれて購入しました。繊細で、ゆらゆらと微かにきらめくような、大切にしまっておきたい飴細工のような物語。綺麗で初々しくて、かえって直視できず、眩しさに目を細めるような気持ちで読みました。

男子校の宝こと道音静一に一目惚れした、森満津留。美しい、結婚したい、見たい、もっと知りたい、と、夢中になる森。ある日のインクルーシブ授業で、男も好きになれることを自覚。どうにか近づきたいと願う中、なんとバイト先に道音が入ってくる。距離が縮まるにつれ、森の思いは膨らむばかり。一方、外見に寄ってこられたり、性的ないやがらせに晒されてきた道音も、森の穏やかな雰囲気に心を許し始めていく。
迷いを捨て、自分らしく、誠実に向き合おうとする森の存在は、道音の中で大きくなっていく。しかしある日、森に好きな人がいることを立ち聞きしてしまい…。
春雷のように恋に落ちた森、風に身を委ねるように恋した道音。二つの恋が交わる時の、風の色まで憶えてる――。

n人目の実直な攻め!n作目の実直な攻めはいいぞ!でした。しかもお兄ちゃん属性。数あるお兄ちゃんみの中でも、誠実さ、真面目さ、頼り甲斐…どれも上位に入るレベル(個人調べ)。まだ高校生でこれとは恐れ入ります…将来有望すぎる。

キス慣れしていない恋人を愛しく思ったり、精通について冷静に聞いたり、オープンにするか伺いつつ、必要な場面では堂々と彼氏呼びができる高校一年生の経験値is何(笑)言葉の端々から道音を大切に思う気持ちが伝わってきて、たまりませんでした。個人的にこういう人をスパダリと呼びたい。

尊重したい、大切にしたいという思いが込められた台詞が多く、印象に残りました。この先も、美しい記憶を沢山積み重ねていって欲しい二人です。
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