続 IN THE APARTMENT
」のレビュー

続 IN THE APARTMENT

絵津鼓

赦すということ

ネタバレ
2025年7月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「IN THE APARTMENT」でこの続編もひっくるめたレビューを投稿済みですが、こちらも書きたくなったのは、その後「モアザンワーズ」を読んだからです。怖くてずっと読みたくなかったモアザンを読んだのは、より理解を深めたかったから。確かに深まりました、そして…もっと辛くなってしまいました。

ただの三角関係の縺れで別れたのならここまで辛くはならないんだよな…やはり子どもの存在は破壊力強過ぎる。もちろん子どもに罪はないんだけど、あの時3人が実行した内容はやはりハチャメチャだったと思う。
それでも、うまくいくかどうかは分からなかったけど、最後まで美枝子が当初考えていたことを遂げようとしてくれていたら。妹尾が逃げずに3人で納得出来るまで話し合ってくれていたら。
深く刻まれていた妹尾の傷がもう少し浅く済んだのではないかと思います。

一方杉本も祖父との確執に悩んでいた。
そんな時同じ目に遭ってきたはずの兄から「折れる」というのは「ゆるす」ことだと聞かされる。昔のことは清算し今の祖父を受け入れることが結果的に自分も救われると。
私も経験あるけど誰かをゆるせないままでいるとそれに囚われ続けてしんどくなる。辛い思いをした自分をまず赦そうって思った時に初めて、それまで自分を雁字搦めにしていた悲しみや怒りを手放すことが出来た。
だから杉本と共に私も妹尾にエールを送り続けた。
杉本の妹尾への寄り添い方は絶妙だったと思う。押し付けがましくなく、話を聞き、側にいる。ふらっと妹尾が去って行っても同じ場所で待っている。そしてここぞという時には背中を押す。

続〜のラストで妹尾は杉本と共に2人と子どもに会いに行く。乗り越えた妹尾がそこにいた。
喜ぶべきことです。
ただ白状しましょう、私はまだ2人に対し複雑な感情を抱いたままです。
妹尾が良しとしているのだから私もそうしたい。というかモアザンの頃からずっと思ってきた。2人を嫌いになりたくない何なら好きになりたいと(実際途中までは好きだった)。でもやっぱり私はまだあの2人が許せてないんだろうな。って認めます。妹尾にはエールを送っておいて、偉そうに自分語りまでしておいてこの体たらく。
もう少し時間をください…。
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