このレビューはネタバレを含みます▼
今まで読んできた全ての本の中でもかなり印象に残る漫画でした。出会えて良かった作品です。
この世にこういう漫画を描いてくれる作家さんがいるから漫画読むのやめられないんだよなぁ・・・って思いました。
戦時中で、特攻隊で、相手も自分も今日明日にでも死んでしまうかもしれなくて、男同士で、社会的に認められなくて苦しくて、この関係は続かないとわかっている。追い詰められている状況だから、これはただの性欲なのでは?という戸惑いもある。
でもそんな不安定で絶望的な状況の中でも「相手のことを好き」で「愛している」という気持ちは確かにそこに存在していて、それがとても尊い。
どのカップリングも良くて、印象に残るシーンや好きなセリフ、モノローグがたくさんあり、感想書ききれないです。
全部好きだけど、自分は下巻の飛曹長とソノの話が特にズシンときたかも。
「二人であの山の向こうに逃げてしまおうか」のシーン、「あの時の貴様は本当に綺麗だった」のシーン、20年後の再会のエピソード、「親よりも子供よりもソノが幸せになってくれることを祈ってる」「俺は今でもあの燃える山の夢を見る」のシーン、「あの頃は何もなかったけど、今欲しいものが全部あった気がしてあの頃に戻りたい」のシーンが好きです。
「また戦争でも起きない限り あの夜は2度と訪れない」という最後のモノローグに頭を殴られたような感じがして、深く胸に突き刺さりました。