午後の光線
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午後の光線

南寝

何種類もの感情が巻き起こる作品

ネタバレ
2025年7月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 一言で言うと切ない。
終盤の村瀬の、淀井の溶け込んだ日常の景色が恋しくてここを離れられないというような言葉がすごく刺さった。
自分も大切な人が亡くなったら、少しでもその人を感じたくて、その人と過ごした場所を辿ってしまうだろうなと思った。
もしかしたらどこかにいて、また会えるかもと思ってしまいながら。
そう言えば自分も、家族が亡くなった時に一番悲しくなった瞬間は葬儀の時ではなく、いつも一緒に来ていた店にその人がいないことを体感した瞬間だった。
あ、もう本当にいなくなっちゃったんだ、もう一緒に来られなくなっちゃったんだ、とわかってしまった。
少年がこの気持ちを背負うのは残酷すぎて、ハッピーエンドのお話も描いてほしいな…と願ってしまう。
トラウマを抱えつつも一生懸命生きる村瀬と淀井に幸せになってほしかった。
でも、残酷だからこそ人の想いの強さや命の儚さが際立って心を打たれる作品になっていると思う。
可哀想だけど美しくて忘れられない作品。
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