おひとり様には慣れましたので。 婚約者放置中! 【連載版】
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おひとり様には慣れましたので。 婚約者放置中! 【連載版】

晴田巡/荒瀬ヤヒロ

なかなか痛快です…いいぞニコル!

2025年7月21日
ヒロイン(伯爵令嬢ニコル)は婚約者(侯爵令息ケイオス)に蔑ろにされて久しい。ケイオスは幼馴染み王女キャロラインに心酔し、学園では生徒会に所属し会長であるキャロラインを支え、将来は騎士となって王女を守ると公言。
婚約者であるニコルに対して、ぞんざいの極み。カップル参加が常識のイベントで王女に侍るものだから、ニコルはひとりで壁の花。手紙の返事はこない。お茶会はすっぽかされる。去年、行商を見に行った時は、王女の話しばかり。挙句の果てに「わざわざ来てやったのにそれぐらいで怒るな。本当はキャロライン様のために剣の修行をしたかったのに」ですと?!同じく去年の花祭り、ニコルは花束を貰い、内心ひと安心したところ浴びせられた言葉は「キャロライン様にも同じ花を渡したがよくお似合いだった。お前にも似合うだろう」…ニコルには、自分の恋心が跡形もなく壊れる音が聞こえた事でしょう。
もう完全に振り切れたニコルは、単独行動で自分の気持ち通りに振る舞います。すると逆に婚約者ケイオスが構って来るようになります。ある意味、共犯の王女も事態の深刻さに気付き、ケイオスに挽回の努力を命じます。
うーん。納得出来ない。ケイオスの態度は、心が離れ、もう別れる相手にする仕打ちに等しい。王女も四六時中、側に侍るケイオスを見れば、その婚約者がどうなのかは普通は分かる筈。ふたりともそんなつもりは無かった、配慮が足りなかった、これからは気を付けると言いますが、時、既に遅し。
ニコルの気持ちは苦しみや悲しみを通り過ぎて、“凪”の境地。まだ女性の自立に不寛容な社会なので、白い結婚だけしてもらえたら、都合がいいけど…なんて考えています。
ニコルは、お気に入りの隣国の小説を原書で読みたい為に隣国の言葉を学び、そして隣国では女性の社会進出も進んでいる事を知ります。そう!もうケイオスなんぞに見切りをつけて、隣国で経済的自立を目指すといい!自分のやりたい事をやり、自分らしさを大事に過ごすうちに良縁にだって恵まれる!
原作では、ニコルを繋ぎ止めたいケイオスが、まわりをチョロチョロするのを受容しながら、精神的、経済的自立を得たいなら、そう踏み出せるスタートラインにいるところで結末を迎えています。その先はどう転ぶかニコル次第なのが愉快です。ケイオスなんて袖にして、もっといい男とパワーカップルになって〜と願います。逃がした魚は大きいのです。
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