いとしの未来くん
」のレビュー

いとしの未来くん

吉田ゆうこ

二人の気持ちの回路がつながるその瞬間

2025年7月25日
200ページ。
「好き」ってどういうことだろう、という気持ちを抱きながら読み進め、本編ラストのシーンでバチッと電気が走る瞬間を体感しました。二人の回路がつながった瞬間、この作者さんの描くああいう「瞬間」が好きです。ゆるやかな空気でゆるやかに進む話、そこにバチーーーッと来る。
順々に三人のクセ強男達と、言われるがままにお付き合いをしていく未来くん。自分を好きになってくれる人を好きになる、という気持ちはわかるので、割と未来くんは嫌いじゃない(もうちょっとしっかりしてくれろとは思うけど)。未来くんがその時々のお相手のことが「好き」だったのは本当のことで、むしろお相手が未来くんのことを本当に好きだったわけじゃないんじゃないかな?
日平はずっと未来くんのそばに居て、近過ぎて気持ちの自覚が遅れてしまった……もっと早くに気付けていれば、もっと穏やかな二人だったろうに……不要な回り道だったとは思うけど、仕方のない回り道だったとも思う。なんにせよ、「好き」ってどういうことだろうという疑問に、理屈抜きに本物の「好き」と「好き」同士だよなって見せてくるあの瞬間、私という理屈屋をねじ伏せるあの瞬間が、良い気分です。
特別なひとと手をつなぐって、格別ですね。ロマンチック。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!