妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~(分冊版)
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妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~(分冊版)

橘ちなつ

当たり前じゃなかった

2025年8月8日
日常は当たり前なんかじゃなかった。
一気読みしました。
専業主婦だから稼ぎなんてないのに、このお話は貯金を使ってでも読まないといけないと思いました。
私も妊娠中、世間の妊婦たちのように話しかけたり、撫で撫でしたりすることはあまりなかった。
おなかが張って痛いなあ、ポコポコ蹴られて痛いなあ、重たいなあと思うことばかり。
つわりも匂いつわりで部屋ごとの匂いの違いで臨月でもトイレでおえおえしていました。
計画無痛だったのに2日間半、黒い液体を吐きながら陣痛に耐えていたあの時「もうなんだっていいから早くこの腹の中のモノを取り出してくれ」と心の底から懇願した。
そんな気持ちもあって、子供を産んでからも申し訳ない気持ちが消えなかった。
私は同じ病気ではなかったけれど、こんな病気もあるんだ、同じように感じる人もいるんだと少し安心した。
精神病棟の存在も知ってはいたけれど、現実はこんなにも残酷で辛いものかとわかった。
今幸せなのは当たり前じゃない。
辛い思いをしている人もこんなにいるんだと。
私ができることは今の幸せを噛み締め、感謝し、何があっても子供と家族を守ること。
明日からは今まで以上に子供のことを愛すると誓います。
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