ひねもすのたり君と僕【SS付き電子限定版】
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ひねもすのたり君と僕【SS付き電子限定版】

木下けい子

彼こそが特別

ネタバレ
2025年8月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 二度読んで下さい。
最初はなおちゃんがクズ男すぎて、大好きな木下先生の作品なのにこりゃダメかな、と思いましたが、そのうちよーちゃんの愛が重くなって、それはもう重くて、この話は語り手がよーちゃんなだけじゃなく、よーちゃんの物語なんだなと思いました。
ダメな男ばかり好きになるから、よーちゃんがいつまでも離れられない。だからなおちゃんはダメな男ばかり好きになる。
まことにバカバカしい話ですが、実のところ、なおちゃんにとってもよーちゃんが誰よりも大切なのです。
じゃあどうしてよーちゃんに「すきだ」と言わないのか? それは、よーちゃんがノンケだと思っているからです。
本当はよーちゃんを甘やかしたい。頼られたい。そしてよーちゃんにはいつか相応しい女性が見つかって、しあわせな結婚をして、子供ができて⋯⋯なおちゃんはよーちゃんが好きだからこそ、そう願っているのですが、よーちゃんを手放せない。
どうしようもない男を装ってまでして、繋ぎとめたいものがある。
そしてよーちゃんもまたなおちゃんを守りたい。何をしても守りたい。仕方ないなおちゃんの面倒を見ることで、なおちゃんの隣にいたい。
幼い頃から隣にいたからこそ、ふたりの関係はこじれてしまった。――そんな話です。

わたしは番外の、「よーちゃんがモテないはずはない」に笑ってしまいました! 今までよーちゃんはどうやって貞操を守ってきたんだろう? 素敵な女性につい揺らいでしまうことはなかったんでしょうかねぇ?
まぁでも、よーちゃんも大概、何も言えないくせに独占欲だけ強いヘボ男なんですよ、結局。
他人にはどうすることもない、拗らせたふたりの恋。その不器用さにふっと笑えると思います。
かわいらしい物語でした。
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