妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~(分冊版)
」のレビュー

妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~(分冊版)

橘ちなつ

何度読んでも泣ける。作者の想いが伝わる。

2025年8月14日
産褥期精神病という精神の病気があって、それはまだ世の中で知る人の少ない病気であること。症例が非常に少なく、精神科でも詳しく知られていないこと。【暴力的な自死】【殺児観念】を抱かせてしまうほど恐ろしい病気だということ。それは、1000人に1人という少ない、しかし少なすぎない割合で発症する。
この産褥期精神病を世の中に知ってもらい、不幸な選択をする人や、孤独で辛い想いをする人を少しでも救いたい、という作者の強い願いを感じる漫画でした。

以前途中まで読んで脱落しました。あまりにも心情表現が巧みで壊れていくさまや、壊れていくことが自認できる恐ろしさ、気持ちの苦しさがありありと伝わり、しんどかったから。当時、評価も低く、読み続けても救いがないように思われたからです。

今回キャンペーンを機に一気読みしました。今、読めてよかったと思います。最後まで一気に読ませる、力のある漫画です。勉強になりました。時々入る旦那さん視点も物語を立体的に見せてくれます。ふつうに生きていたはずの人間が、意識や身体を奪われる感覚、想像を絶します。また、精神病棟の様子なども体験されたことですから、非常にリアルです。医療従事者も人間。傷つけられたり、救われたり。

ぜひご本人や周囲が妊娠出産に関わるタイミングにあるときに読んで欲しい。漫画としても秀逸ですので、面白い漫画を読みたい、そんな方にもぜひ。
いいねしたユーザ23人
レビューをシェアしよう!