このレビューはネタバレを含みます▼
初読み作家様。こういう空気感とストーリー構成好きです。とてもよかった。攻め(夏生)と受け(壱成)。ですが、人生においては壱成が攻めで、夏生が受けです。毛色の違う2人。たぶん普通なら、交わらないであろう2人が、共通の趣味から近くなり、互いに持ち合わせていないものに惹かれ、両片想いに。高校卒業と同時に壱成の告白に夏生が応えられなかったことから、2人は疎遠になり、その6年後、偶然にも隣同士の部屋になり、あの頃の想いがまた動き始めます。その間も互いに想い続けてて、まあなんて一途。そこがこのストーリーの中での最大の萌えポイント。あとは、互いに仕事ありきのラブなので、とても現実的です。たぶんこの2人、優先順位が仕事→恋愛なんだと思う。が、夏生は自分の仕事の面白さややり甲斐にまだ気付けてなくて(若いから、まだそこまでの余裕がないのかな)、好きなことを仕事にした壱成にジェラってる。でも、壱成は壱成で、ここまでくるのにたくさん苦労したし、苦汁も飲んだだろうし、利口で卒なくなんでもこなせる夏生に、一目置いてたんだろうな…と。好きなこと仕事にするのって、好き好きだけではやれないし、好きだからこその苦労も多々あると思う。自分で選択した人生に言い訳するな。結構ズシーンとくるねぇ。人間そんなに強くないから、言い訳したくなる時、当たりなくなる時もあるよねぇ。でも、若い時はそれも必要かなって思う。好きなことを見つけて、仕事にして成功する人なんて一握りだろうし、世間一般では生きていくために働いて、たぶん自分の生き方に自問自答しながら生きてる人のほうが圧倒的に多いと思うのよ。私はね。…長文で話し逸れましたが(また熱く語ってしまってごめんなさい汗)、それでも2人がちゃんと結ばれたのは、2人が自分のしてきた苦労を、相手にも置き換えて相手を思いやれたから、かと。恋愛第一主義ではないけれど、仕事が充実してる中に、安心できる場所として互いがいるのかな…と思うと、なんだかすごく幸せじゃないですか?甘々ではないけれど、ちゃんと地に足のついたストーリーで、いろいろ思い描くことができる、いい作品でした。お仕事BLよきよき。あ!ちゃんとラブラブシーンもございますので(うふふ)