ピットスポルム 合冊版
」のレビュー

ピットスポルム 合冊版

三上志乃

二葉までの感想

ネタバレ
2025年8月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 何だろ、んー何だろ世間の評判ほどハマれないでいます。
エピソードがいちいちツッコミどころ満載で失笑と困惑の嵐でした。(例を挙げてもいいのだけど如何せん多過ぎてこれだけで文字制限きちゃいそうです。)おかげでスムーズに読めないでいるのに読者を皆このレールに乗せよう、少しの違和感はあるかもしれないけど目を瞑って!みたいな強引さを感じました。2人の主役もちょっと極端というか、小田島あそこまで学校で女子とヤリまくる設定にする必要あったかな。自分の性的嗜好を否定したいがための行為であったとは理解しているけど…。矢野は動きと表情がせわしなく見ていて疲れました。
小田島が矢野を好きになっていく過程は結構丁寧に描かれていると思いました。でも矢野はなぜ小田島をこれほどまでに好きになったのかよく分かりませんでした。全体的にご都合主義な作品だなと思ってしまいました。
あとこれ個人的に重要なんだけど、先生がコミカルに描こうとしている部分があまり面白くありません。シリアスさを上手に描く作品が大好きですが、笑いのセンスも重要視している者としてはこの点いまいちです。

ただ小田島の母親と、矢野の家庭環境について描かれた部分は興味を惹かれました。
母親は最初毒親?要注意人物?と身構えたのですが、かなり印象変わりました。夫のことで直後の不安定さはあったし幼い小田島に縋ったりしたことで彼を苦しめたかもしれない、でも元?夫について暴言とか恨みつらみを吐く場面はなかったし、矢野との会話の時の言葉は私には自分を裏切ったはずの夫への理解と、思いやりにすら聞こえました。更に「あなたたちにはそうなってほしくない」と。夫と同じ性的嗜好を持つ息子を受け入れようとしている。そう思えるまでにはどれだけ葛藤があったことか。その後も畳み掛けるように矢野に向けた言葉に、この母の強さと息子への愛情を感じました。主役2人がくっついたとか何かより、こちらの方が断然感動大きかったです。

矢野の実家の経済事情は今作でも分かったけど、少し先の試し読みで更に気になりました。三葉以降も読めばこの作品に対する感想が変わってくるのかもしれません。その時はまた書き(直し?)に来ようと思います。
現時点では3で。
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