汝、星のごとく
」のレビュー

汝、星のごとく

凪良ゆう

自分の足で立つという事

ネタバレ
2025年8月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ コミカライズで読み始めましたが
「綺麗な文章」だから活字で読んでほしいと娘からハードカバーの本を手渡されました。
コミカライズ1巻で、閉塞感の中で生きる主人公たちのその後がとても気になっていました。
物語は「暁海」の16歳から34歳までがえがかれています。
瀬戸内の島という狭い領域の舞台背景が、
物語の冒頭での近所の住人のプライバシーを踏み越えて侵略してくるさまが、
まだ学生の身の主人公たちに早くこの状況から抜け出したいと強く思わせる第一章。
彼等の母親の、その依存した生き方が子供にどれほどの重荷を背負わせている事か・・・
まだ“見捨てる”という無情さを持ち合わせていれば救われる部分もあったのか・・・
自分ならば、母であっても子供であっても、主人公たちのように優しい思いを持てたかどうか解らない。

「暁海」の父の愛人は、刺繍作家として独立して生計を立てられる人で、
他の家庭を壊した十字架を背負ってはいるけれど、
「仕事をしているから蓄えがある。
お金があるから自由でいられる事もある。
誰かに依存しなくていい。
イヤイヤ誰かに従わなくていい。」
・・・その言葉は胸に刺さる。

男女の身体的能力や役割は充分加味した上で、
女性が一方的に我慢を強いられてはいけないと思うのです。
言うことは言う自分である為に、いつでも自分の足で立つ覚悟は必要だと感じます。

物語は終わりましたが、まだもう少しこの世界に浸っていたいと思ってしまいます。
いいねしたユーザ5人
レビューをシェアしよう!