後悔するならご勝手に~あなたの選んだ聖女様とどうぞお幸せに~【単行本版】
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後悔するならご勝手に~あなたの選んだ聖女様とどうぞお幸せに~【単行本版】

井村なるみ/桜井ゆきな

幸せをつかめるのは誰?

ネタバレ
2025年9月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ ヒロイン(侯爵令嬢デイジー)は、病から救ってくれた聖女(子爵令嬢ルーラ)を“真実の愛の相手”だと言う王子(第一王子フレディ)から婚約破棄されてしまう。

厳しく、5年にも及ぶ王妃教育を受け、王子の職務の肩代りと社交の補佐を行い、内助を尽して支え続けた功績は、まるで評価されず一方的に切り捨てられるヒロイン。不憫。

その上、信じられない事に実父から「正妃が駄目なら側妃になれ。」と命令されてしまう。娘の心情など一顧だにしない冷酷父。そんな矢先、ヒロインは原因不明の昏睡状態に陥ってしまう。

【ヒロイン】ただひたすらに自己犠牲の人。特に婚約者である第一王子と実父に対して。ただそれは一方的なものであり、第一王子と実父には真心が少しも伝わっていません。彼らにするとヒロインの献身は当然のものであり、わざわざ感謝するようなものではない。もう搾取されているに近い状態。昏睡状態になったことでヒロインは自分の置かれた状態にやっと気付く事が出来ました。そして搾取される様な献身をやめる決意が出来ます。
心優しいヒロインには心酔して味方になってくれる人達もいて、その人達との幸せが見出せそうです。報われる瞬間が待ち遠しい。

【聖女】『礼儀を弁えない優位に立ちたい令嬢』と噂されている子爵令嬢。身分の低さを理由に蔑まれた事が遺恨となり、自分より高位の令嬢の婚約者を魅了して、それをわざわざお相手令嬢にマウントを取るのが快感となる。
第一王子をヒロインから奪えた事を至福と思う。こう聞くとただ単に下卑た人物としか思えませんが、見直す出来事がやってきます。治癒の力は本物。

【第一王子】とにかく残念な人物。王太子として必要な素養を満たさず、婚約者であるヒロインに肩代りさせていた。その自分の状況把握も出来ずにヒロインを捨てる。旗色が悪くなり、今度は聖女を捨て、ヒロインに戻る発言。節操がない。無知で愚か、救いようがない。

【真のヒーロー】ヒロインの事を内心慕っていた。婚約破棄で自身にもチャンスがある筈なのに、立場をわきまえてそうはしない。それどころかヒロイン自身の幸せを案じ、リスクを冒して秘策を授けます。聡明で誠実な愛情深い人。

因果応報。この言葉通りの結末を迎えそうです。おバカな第一王子にも頑張り次第で幸せが訪れる余地があります。あとは本人次第。
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