お金が大好きな平民の私は卑屈貴族と契約結婚して愛し愛されます コミック版
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お金が大好きな平民の私は卑屈貴族と契約結婚して愛し愛されます コミック版

青井さび/ゴルゴンゾーラ三国

不憫なヒーロー。幸せになって!

2025年9月7日
美醜逆転ものです。世界を救った“勇者”に似た容姿が最も美しく、逆に世界を滅ぼさんとした“魔王”に似た容姿が最も醜いとされています。魔王に似た容姿を肯定する事は、魔王肯定と受け取られ迫害の対象になり得てタブーです。「生まれ持った容姿がたまたま“魔王”に似ていただけで、本人は悪くない」という理屈は通用せず「悪いから“魔王”に似ているのだ」という常識で、当事者には救いのない設定になっております。

ヒーロー(辺境伯ディルミック)は国中の令嬢から婚姻を拒まれ、やむなく平民を娶ろうとしますが、3人に逃げられます。ヒロイン(隣国の平民ロディナ)は満を持した4人目、最初から金銭による婚姻であり、お互いに「跡継ぎを生む女性をお金で買った」認識を共有しています。

【ヒロイン】前世の記憶があり、前世は金銭的苦労をした為、お金に執着があります。そして美醜の感覚も前世の基準な為、ヒーローがイケメンにしか見えません。その2点以外は、至って普通の人。ただその普通の感覚がヒーローにとって救いとなります。
ヒロインは妻として夫に親愛の情を示します。最優先事項の閨事は拒みませんし、食事を共にしたり、長く暮らすために言葉の習得に励み、貴族である夫に恥をかかせまいと礼儀作法を努力して学んだり。ヒロインとしては取り立てる程でもない数々がヒーローには温かく心に染みるのでした。普通に振る舞うだけで、イケメンの心を魅了出来るとはチートです。

【ヒーロー】高い身分で恵まれている筈にも関わらず、容姿の為に辛酸を舐めています。貴族の義務として、何としても跡継ぎを得なくてはなりませんが、対象となる女性達から心無い仕打ち。しかも悪意の意地悪というよりも、取り繕おうとしたけど出来ない程の生理的嫌悪感が隠しきれないっ!という…より深く心傷付ける有り様。不憫です。
思い返せば物心ついた後は、食事を誰かと取ることもなく、人とのスキンシップもなかったと気が付くヒーローです。だからこそ普通に振る舞うヒロインの態度が心に染みてしまうのでした。

ヒーロー自身は、辺境伯の職責を立派に果たし、穏やかで優しい人柄。幸せを求める事に諦めが先に立ち、ヒロインに癒されても、積極的な行動に出ません。ヒロインの方も淡々とした性格で、積極的な態度はなし。信頼は深まりつつあるのは分かりますが、甘い雰囲気が足りなくてジリジリします。甘々を見たいです。
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