このレビューはネタバレを含みます▼
明るく前向きな刑事・田鍋×叶わぬ恋心を抱き続ける僧侶・唯真。ずっと想い続けた幼馴染みで刑事の羣司が殉職し、行き場のない想いや怒りを抱えて涙が流せないままの唯真。月命日のたびにやってくる羣司の後輩・田鍋の存在に苛立ちながらも表面上は卒なく対応していたが、その苛立ちが爆発し、なりゆきで羣司の代わりに田鍋に抱かれるように。愛する人、尊敬していた人を喪くした深い哀しみを抱えた二人の物語。すごくよかった。羣司さんがいい男すぎて、男として人として惚れた二人の気持ちが痛いほど分かるだけに切なすぎる。そして羣司に可愛がられていた田鍋に嫉妬している唯真を、羣司への想いごと抱き締めたい田鍋もまた、愛情深くていい意味で欲深くていい男。田鍋が急かさず、でも逃さず唯真の側にいたことで、唯真の心が柔らかく解けて涙した時にこっちも泣けてしまった。きっと羣司さんも安心したんじゃないかな。タイトルとその意味も素晴らしい。どちらも男相手は互いだけだけど、唯真と女性の絡みがちらっとあるので苦手な方はご注意を。羣司さんの分も健康で長生きして、幸せに生きて欲しいな。