父の愛人 【電子限定特典付き】
」のレビュー

父の愛人 【電子限定特典付き】

塩味ちる

視点のはいりかたが……作家のよう

2025年9月7日
作家の父×家政夫、純平
2階から下りてくる影は制服に見を包んだ晴輝だ。眠気に霞んだ目元は無防備で、あくびのせいでつややかな髪がサラリと揺れた。台所では純平が晴輝に持たせる弁当の支度をしている。Tシャツとジーンズの上に無造作に掛けられたエプロン。その布越しにも鍛えあげられた体躯が隠しきれない。
「おはよう、晴くん」
純平はフライパンをあおりながら、器用に菜ばしで卵を返していく。
「あれ、父さん、まだ起きてへんの」
スマホに視線を預けたまま、晴輝はなかば夢の続きのような覇気のなさだ。
「とっくに起きて仕事してるよ」
純平は落ち着いた調子で返した。
「また俺の弁当が可愛いなっとる」
照れ隠しが混じった声で晴輝が歩みを進める。その声は少しぶっきらぼうに響いた。
「今日はクマちゃんにしてみました〜」
背中からのぞき込む晴輝に、純平はいたずらな微笑みを返した。
障子から洩れる朝陽が、ふたりを柔らかな温度で包んでいた。

……え、普通にレビュー書いたほうが埋まるんだ、は置いといて。校正をされる皆さま、スルーでお願いします。
タイトルをみれば、確かに息子の晴輝視点なんですよ。
「父の愛人」ですから。
でも漫画って、ほぼ主人公ふたりの関係性から入ることが多いし、と思い込んでいたみたいで。
読みはじめて数ページあとで晴輝父が登場して、純平と晴輝にクローズアップされて「あれ、これ誰と誰の話?」と混乱。
そこからラストまでごちゃごちゃになってしまい、すぐさま二巡。ようやく呑みこんだところで、やっぱりしおみ先生のセンスすごいな〜って、なっております。
面白かった〜。ありがとうございます。
次作も楽しみにお待ちしております:D
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