シンデレラは私ではなかった【タテヨミ】
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シンデレラは私ではなかった【タテヨミ】

doba/Juan/G-ANNE

自立自律のヒロイン。王子を助ける側?!

2025年9月8日
ヒロイン(令嬢テリル)は候爵家次男(ジェモン)と恋仲であったが、ジェモンは自分が爵位後継者として地盤を固める為、公爵令嬢との婚約を決め、ヒロインを捨ててしまう。

ジェモンには義兄がいた。養子として引き取られた候爵家長男(セシオ)は歩く事ができず車椅子生活で、話せないため筆談だった。養子として引き取られるには理由があったが、候爵夫妻の実子はジェモンであった為、後継者はジェモンとしたい思惑があり、冷遇される日々を暮らしていた。義弟の恋人であるヒロインとは接触があり、必ずしも大事にされていないヒロインに同情的だった。

ヒロインは捨てられた日に帰宅すると、また大変な騒動。20年ぶりに、死んだと聞かされていた実父が強引に迎えに来ていたのでした。ただその実父は国中でもトップクラスの実力者であり、ヒロインは一夜にしてリーハン公爵家の後継者として、権力を手に入れます。

ヒロインは自分を裏切ったジェモンとその両親に、一矢報いたい。その為、義兄セシオと契約婚約を結ぶのでした。そしてこの義兄セシオは秘密が多く、何やら魂胆もあるようで、一筋縄ではいかない人物なのでした。

元婚約者に一泡吹かせるだけでは済まない、同時進行で政敵との熾烈な権力争い。陰謀や暗殺に立ち向かいながら、セシオと協力しながら、彼の野望を叶えるべく立ち振る舞うスケールの大きな話しになっています。単なる恋愛のいざこざ話しで収まっていません。

ストーリーのメインはこの権力争いに負けずに、セシオの野望をどう叶えるかという事と、協力しながら親密さが深まってしまうふたりの関係性がどんなふうに変化していくかが見どころです。

読者としては、このふたりが魅力的な人物かどうかが、物語に引き込まれるか否かの分かれ目になりそうです。

【ヒロイン】リーハン公爵家の権力を得る前から、芯が通った女性です。自分が納得出来る結果にたどり着けるまで、状況を切り開く気概があります。清廉なばかりでなく、ちょっとダークさがあるのが、むしろ良い。どんな道筋をたどるのか先が気になります。

【義兄セシオ】秘密、隠し事の多い人。長年の不遇の日々でも、目的の為に自分の秘密を隠し通すといった常人ならばやり通せない苦労に耐える精神力の持ち主。それでいて繊細さも併せ持つ複雑さのある人。

ふたりの魂胆と関係、どちらも成り行きが気になって、読むのをやめられません。
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