ノっぴきならぬ
」のレビュー

ノっぴきならぬ

こふで

江戸情緒を満喫

ネタバレ
2025年9月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 刺青も鯔背で荒事の役者絵から抜け出たような虎次と明治の美人画みたいな儚い色香を漂わせた八重辰。青天の髷姿を魅力的に描くのは難しいのに、驚くほどの色男な2人の表紙に釣られて読み始め、江戸は向島の情緒と洒脱を堪能しました。
とにかく、描かれる情景の細部までもが精緻で美しい。虎次の多分唐桟の着流しに派手を極めた半纏、居住まいすら麗しい八重辰の友禅と思わしき文様や角帯の織模様、器の蒔絵、櫛、簪、季節の花の風情、とても贅沢な世界が描き尽くされいます。
内容は大人の男同士の主従関係やら、なさぬ仲の娘やら。間男と出奔した元嫁やらのしがらみが絡む人情恋愛劇。虎次があまりにもスパダリで都合の良い男過ぎ、八重辰は耐える女のふりをした自己中な要望男みたいなことろがご都合主義に感じますが、描絵が最高なので満足しています。
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