第一倉庫にて
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第一倉庫にて

冬辺

表題作は星4つ。耽美の雰囲気の短編集

ネタバレ
2025年9月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 166ページ。
短篇5作+表題作の描き下ろしの短編集。
表題作は、巻末の描き下ろしを含めて作品として完成していると思います。描き下ろしナシの巻頭の部分だけだと、シチュエーションアンソロジー『覆面男子』に合わせた、謎めいた雰囲気ものです。それはそれで良かったですが、描き下ろしで加えられた「解答」が、鮮やかさと哀れさとを添えて、作品世界にバッと色がついたように感じました。これが一番良くて、少しおまけの星4つ。
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・『夢子になりたい』
DK。幼馴染のことが好きで、双子の妹になりたい主人公。設定的にはもっと心情を抉れると思うけれど、作劇の仕掛け優先になっている印象。しっくり来なかった。
・『男娼の恋』
レトロなようなそうでないような、ふわっと舞台設定。ほんのり見える、主人公の同僚からの気持ちが良かった。
・『果てしない青』
子供しかいられない閉じた世界と「兄弟」と謎の「あの人」。すべてが謎すぎ。
・『あゆみ』
DKとお坊さん、ちょっとコミカル。こんな僧職はいやだ。
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絵の雰囲気は好きですが、耽美に振り切るには「美」への意識が薄い印象。仕掛けに頼ってしまって、雰囲気止まりになっているような。全体的にふんわりとしていて、「美」に鋭さも欲しいタイプの自分にはもうひとつでした。
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