妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~(分冊版)
」のレビュー

妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~(分冊版)

橘ちなつ

初めて漫画で涙しました。

ネタバレ
2025年9月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者様、本当にお疲れ様でした。強烈な苦難を経た上で握れるようになったペンで描かれたんだなぁ、と分かってからは、絵の細部まで見入ってしまい、そこにも涙が出ました。この作品を、この世に産み出してくださってありがとうございます。

私は10代から生理時の偏頭痛、嘔吐に苦しんでいました。当時ピルくらいしか思いつかなく、飲んでも治りませんでしたが「仕方ない」「こういうものだろ」と思い続け、気付けばピル歴10年。

現在27歳。子供がほしい!と思える人に出会い、妊活の前に自分の体をもっと知ろう、労わろうと調べた結果、“チェストツリー”というサプリに辿り着きました。

すると、生理時の頭痛が治るどころか、「普通の人ってこんなに毎日頭がスッキリしてるの?!」と驚くほど元気になり、ひょっとして10年間ダルかった??本来の私ではなかった??と衝撃を受けました。

【本来の私】というのは、もはや女性の場合、何を指すのかわかりませんが、“健常”を意味するのなら多くの女性がそれを経験できていない、または知らないまま亡くなっていくのでは?と思いました。

作者様は自死せず、まるで命のような作品を産み出し、多くの女性を救っているようで(旧Twitter拝見しました)もっと広まることを祈っています。

個人的なことを言うと、子供を授かる前にこうして女性ホルモンという微々たる偉大な共生物について知れたこと、とても幸運だと思います。この漫画でより、自分の身体を知ることの大切さが分かりました。

そして、あらゆる悲しいニュースを見ても、外で「こうしてあげればいいのに」というお母さんを見ても、一概に何も言及できる立場ではないなと感じました。当事者も、“世に広がるお母さん像”、“理想としてたお母さん像”になれなくて苦しんでいることが多々。そしてそれが、当事者にすら目に見えないホルモンバランスのせいかもしれない。

ホルモンの乱高下をできるだけ抑えるための予防を知ることは、自分という大切な存在だけでなく、周りの大切な人を守るための術でもあるのだと、再認識しました。

そして、作品中の旦那様のような「パートナーがどんな状態でも絶対に味方で居続ける強さ」を絶対に心の内に灯していたいと強く思いました!

人生で大切な作品になりました。心から、病気からの回復、生きてくださっていること、感謝いたします。
いいねしたユーザ37人
レビューをシェアしよう!