カラー・コレクション【電子限定描き下ろし付き】
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カラー・コレクション【電子限定描き下ろし付き】

芹澤知

オムニバス形式で描き出す珠玉の恋愛群像劇

ネタバレ
2025年9月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 私が初めて芹澤知先生と出会ったのがこちらの作品で、先生の芸術的画力、ドラマティックで卓越したストーリー、展開は大胆なほどアップテンポながら描写は繊細、といった数々の魅力の虜となり、それ以降様々な作品を作家様買いしています。

本作は、森丘美術大学を舞台に、オムニバス形式で描き出す珠玉の恋愛群像劇。
「彩輝×蒼大」「利人×ミハイル」「大地×大竹」3組の恋愛模様が描かれており、エピソード毎にストーリーの中心人物が変わりつつ、6人の横の繋がりも丁寧に描き出されているところが、1番の特徴であり魅力になっています。

カップルの関係性はもちろん、6人が織りなす人間模様も思いやりや敬愛に溢れていて、それぞれ悩みや心の傷が温かく癒されていく場面も見どころです。

特に、本作品の主人公的存在である彩輝と蒼大の関係性が、とても胸打たれます。

4年生で天才である蒼大はいわゆるスパダリ系人物ですが、2年後輩にあたる彩輝は蒼大の隣を並んで歩きたいからと、蒼大に相応しい自分になるため努力します。
そして、蒼大もそんな彩輝を応援し、彩輝の才能と選択に敬意を払うんです。

2人は、先輩後輩とか天才とか、そういう既成概念に囚われない自由で対等な関係であり、人としても互いの才能に対しても惚れあっているのが、とても尊いです。

作品中でも「芸術家って結局才能に惹きつけられる生き物だからね」という言葉があるのですが、芸大では「相手の才能にも惚れる」的な、こういうロマンティックな恋愛もあるんだろうなあと思うと羨ましささえ感じます。
他の2組も同様に、立場や年齢に関わらず対等な関係で愛を育んでおり、一冊で純愛、エロス、大人のロマンスと、いくつもの恋愛を楽しめます。

そして、クライマックスとなる森美祭で、6人がそれぞれの想いを実らせる場面はまさに大団円で、感動も3倍です。

どの登場人物もタイプの異なるイケメン(1人は可愛い系)で魅力的ですが、個人的には大竹先生のイケオジぶりとダビデさんの肉体美に骨抜きにされてしまいました。
ダビデさんの肉体美は必見もので、芹澤先生の画力を思う存分堪能できます。

芸術にうとい私には、美大独特の雰囲気や、登場人物が創り上げる作品もキラキラ眩しく映って、とても楽しめました。

エロ部分では、純情可憐な彩輝が意外に積極的でものすごーく萌えました(笑)
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