青野くんに触りたいから死にたい
」のレビュー

青野くんに触りたいから死にたい

椎名うみ

類を見ない傑作

ネタバレ
2025年9月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最新巻も本当に良かったんだけど、街に花が咲き乱れ、強い風が花びらを吹き荒らす場面がとくに印象的だった。
いよいよ誕生日が始まって1ページ先の展開に緊張感が走る中で、それでも全てを手放して心が踊るような感覚になる。そんな情景だった。
その美しさは、私の大好きなクリストフ・ガンズ監督のフランス版「美女と野獣」のクライマックスを思い出した。低い太陽の光、きっと気温は少し汗ばむくらい暖かくて、大きな雲を早いスピードで流すくらい強く風が吹いていて、舞い散る花の色が強烈に際立って。
どこか現実を超えた鮮烈な情景を、漫画でここまで感じさせてくれることに感動した。

思えば12巻の夜の公園で2人が踊るシーンでも花が咲き乱れ舞っていた。
椎名先生はああいう''解放の瞬間''を挟むからこそ辛いシーンとのギャップで感情がぐちゃぐちゃになる。正真正銘のホラー漫画。
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