夫と心が通わない カサンドラ症候群で笑えなくなった私が離婚するまでの話
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夫と心が通わない カサンドラ症候群で笑えなくなった私が離婚するまでの話

アゴ山/鳥頭ゆば

障害に罪はない、のか?

ネタバレ
2025年9月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 自分も身内に発達障害の人がいるが、悪気はなくとも「損得勘定」は存在していると感じる事がある。
作中、妻が連れてきた猫の世話はしない、というエピソードがあったが、一見悪気はなく理屈で考えた結果にすぎない、かの様に見受けられるが、そこには損得勘定が明らかに存在している。
世話する対象を減らす事で自分にメリットがあるのは事実。その為に理屈を構築したのではないか。
嫌だからやらない、は感情論だとされるが、「自分が損だからやらない」も、それはそれで感情論なのではないか?
損をしたくないという気持ちは理屈ではなく感情から来ているはず。発達障害は相手の気持ちを察して「配慮」する事が出来ない。だから相手の損得より自分の損得を優先する。
障害を持った人に接する機会のある職業の人であれば、それが障害の当たり前だからこそ「悪気はない」と表現するのかもしれないが、
自分の損得しか考えない人間は、人を陥れてやろうとか害してやろうと思っていない前提になるのだろうか?と、ふと考えてしまった。
作中、妻を気遣ったり親切にするシーンもあり「決して悪い人ではない」とする主張を妻は持っている様子だが、あくまで自分の損得勘定に影響しない範囲でしかやってくれていない、と客観的にはそう見える。
病気で本当に助けが欲しい時には、自分に都合の良い解釈と価値観でしか助けようとしない。親切な時が存在している分、余計に「自分に都合が悪い時だけ障害が発動している」ように見える。
妻が「伝わらない」事で苦しむのはいつも、理解する事で夫側にデメリットが生じる時。自分のミスであったり、反省や自己否定に繋がる事は全てシャットダウンされている。
離婚が覆せないと察した段階で生活必需品を完全に折半しようとし、会話すらしない。全て自分の感情優先で動いている証拠だと思った。
発達障害の診断を拒否した時も、理屈で考えたら、医師の診断が優先で、障害の診断を受けて対処法を学んだ方が合理的であるはず。
障害だと思われたくない、妻に見下されたくない、という損得勘定=感情論を優先したから拒否したとしか言いようが無い。
発達障害にも様々な種類分けがあるが、この人の障害は自分の感情を優先しすぎる事なのだろうなと思った。感情を出すのが苦手な面はほぼ妻に迷惑をかけていないので、それだけなら妻がカサンドラ症候群になる必要も無かった気がする。
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