このレビューはネタバレを含みます▼
近頃、笠井あゆみ先生がイラストを描かれた作品が余り発表されていないので、思わず飛びついてしまいました。
先生がイラストを担当された作品は、漏れなく好評を博していると思われますので、この小説も多くの人に読まれたでしょう。
次巻も発行される予定のようですが、もしかすると、ヴァレリー国王の話になるのでしょうか。
もう、騎士団長のラルフとシオンの話は完成した感があるので、恐らくそうだと思います。
それにしても、シオンは、六歳からの十年間、粗食と話す相手もいない生活を続けてきたのに、よくぞ精神疾患や病気にもならずに堪えてきたと思いました。
私達がその様な目に遭わされたなら、平静ではいられずに心を病んでしまったことでしょう。
本だけが友だったようですが、本があったから心を保てたと言えるのかもしれません。
例え話すことはなくても、本を読んで色々と考えることで心が豊かになったのです。
シオンにとって、ラルフは父でもあり、母でもあり、兄でもあり、友でもあり、心から愛する人でもあります。
普通の人であれば到底耐えられなかったことを泣き言を言わずに堪えてきたから、素晴らしい人に出会えたのでしょう。
これからは失った日々を補う程に幸せな日々を送るのでしょうね。