ヒロインの生き様が問いかけてくるものとは




ヒロイン(貴族令嬢ポリアナ)は異母妹(ライアナ)にすべてを相続させたい両親の意図により、戦死して欲しいと願われつつ戦地へ送られ、老騎士の従者となります。
不幸中の幸いは老騎士がヒロインに精一杯の教育を施してくれた事、戦地での厳しい現実をあらかじめ伝えてくれた事でした。13歳で徴集され実戦に投入されます。まわりの予測を裏切りヒロインは生き残り、正式に騎士となり、部下も従えるようになります。しかしそれまでにも、女であるが故に差別され、侮蔑され、男であればしない苦労を重ねていました。
ヒロインの祖国は敵国アクレアに征服され、最後まで抵抗していたヒロインも捕らえられます。アクレアの王(ルクソス1世)は一旦は処刑を伝えますが、翻意してヒロインを女騎士として取り立て、新しい姓ウィンターを与えます。ヒロインは意義に思い命の尽きるまで付き従うと忠誠を誓うのでした。
ヒロインは女だからと従来通りの差別や侮蔑にさらされ続けます。それでも年々信頼を勝ち得て出世していきます。ヒロインに生きる喜びや希望を与えたのは、主君(ルクソス1世)が騎士として認めてくれた事でした。
主君は大陸を統一し皇帝になります。その瞬間、自分に全霊を捧げる女騎士を“愛している”と自覚しますが、自分が主君としてしか見られていないと悟っており告白出来ないのでした。いずれ忘れる筈の恋心は年数が経つほどに募りこじれます。皇帝の恋が報われる時がくるのか?一大テーマになっています。
それにしても一貫して根深い『男尊女卑』。ヒロインは大陸統一後、結婚寸前までいきますが破綻します。その時泣き叫ぶのです。男ならキャリアと家庭の両立が当たり前になし得るのに、女はどうしてどちらかを捨てなくてはならないのか!家族を持ちたい!それがどうして叶わないのか!女は結婚でどうして姓を捨てなくてはならないのか!など一連を恨みます。ヒロインは架空の人物ですが、彼女の苦境は私達自身のことであり、身に突き刺さります。登場女性のすべてが「女は家庭を守り子を育てるもの」とがんじがらめです。ストーリーと並行して女性の主権というテーマがずっとあり重い投げかけをしてくる大作なのです。
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