ひだまりが聴こえる【単行本版】
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ひだまりが聴こえる【単行本版】

文乃ゆき

大事にしたい 心の奥底で願う気持ち

ネタバレ
2025年10月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 優しさと思いやりの詰まった作品。そして、障碍者というセンシティブなところも含まれていて考えさせられる奥の深い作品です。
タイチの天真爛漫さ。杉原の繊細でいて強い意志を持つところ。タイチに対する気持ちを隠すことなく表してグイグイいくも、まだ恋というものに気づかないタイチがもどかしい。
杉原は難聴という障碍を持つも、周りには気づかれにくく気がつくと置いて行かれたような気持ちに囚われてしまう。そこにタイチが、なんの気なしに杉原を気遣いお仕着せがましくもなく接してくる。明るく自然なタイチの思いやりに心を動かされる。
大学で共に学んでいるうちに杉原に惹かれていくタイチ。でもその気持ちを表す言葉を思いつかずモヤモヤするだけ。
徐々に少しずつ歩み寄る2人。タイチがあまりに幼くて杉原が可哀想になるほど(^◇^;)
でも、タイチの考えていることは杉原のこと。大学を辞めて仕事に就くのも杉原や周りの人たちのためになることをしたいという気持ちから。タイチは自覚なしで杉原を大きな愛で守りたいと無意識に動いている。
周りの登場人物との絡みを交えながら大事に大事に2人の気持ちを紡いで、どうにかタイチも自覚してきた感じでこれからが楽しみです。
とはいえ、この作品はもはや10年も経っているとのこと。
BLと言いながら障碍のことも考えさせられて、ジャンルを超えたものを感じました。
読んでみてください。杉原の男気にキュン!として、タイチの鈍さにイライラしますよ。笑笑
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