この結婚はどうせうまくいかない
Cheong-gwa/CHACHA KIM/CHOKAM
このレビューはネタバレを含みます▼
別媒体の連載を追いかけており、心を鷲掴みにされました。重たくていいので純愛がほしい方はぜひ。
個人的にはあまり予備情報なく楽しんでほしいですが…
暴力表現NGの方はご注意ください。
他とは違う・すごいと思ったポイントは以下〜
○世界観
主人公は夫や家族に裏切られ、過去2度の前世で自死や子殺しという罪を犯す(舞台は南欧、カトリック圏)。転生モノによくある「なぜか偶々転がり込んだ幸運」としてのやり直しではなく、「醒めない悪夢」としての転生を彼女は繰り返している。
ストーリーが進むにつれて冒頭のイネスの諦観に満ちた表情が何を隠してきたかが明らかになる。そして、カッセルとの交流がどれほどイネスを変えたかも。
カッセルとの関係に再び愛を見出すイネスと反対に、イネスの過去を知るほどに葛藤するカッセルの姿に胸が痛みます。(現時点でまだ単行本化されていない)
○細部の美しさ(ドレスが最高
レースや刺繍の表現が細かく綺麗でびびります。
デザイン良し、色遣い良しな上に、バリエーションも豊富で脱帽。
フルカラーであることがここまで説得力を持つとは知りませんでした。
○翻訳の質の高さ
元々日本語で書かれていないとは想像もつかないほど統一感のある口調・語調。
中でもカッセルからイネスへの手紙(特に89話)は圧巻。
シリアスな場面もコミカルな場面もある作品だが、終盤かなり重いテーマもある中でその質量が余すことなく伝わるのは翻訳の精度の高さ故かと思います。
以上、完結まで見守る覚悟を決めた読者でした。
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