クズ野郎とセフレ君【コミックス版】
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クズ野郎とセフレ君【コミックス版】

伝子まねゑ

理屈屋には湧き上がる狂気が感じられず

ネタバレ
2025年11月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 上巻160、下巻144ページ。
別名義の一般作が面白かったのでこちらも読んでみました。
「狂ってる」「クズ」を描きたかったのは理解できます。確かに登場人物みんな「おかしい」としか言いようのないキャラクターではありましたが、クズすぎて引くとか笑えるとかまで突き抜けられなかったように思います。どのキャラクターも、性格形成や行動がどうも腑に落ちない。「こうすれば狂ってるだろうクズだろう」という作者さんの意図が見える感じで、萌え出ずる狂気が感じられませんでした。
振り切ったフィクションまで行くには「理由」を付けすぎ、また、その「理由」が根っこまで至らない印象。
また、理屈屋には引っかかってしまう細かい部分が序盤にあり、入り込みを阻害されたのも、楽しみきれなかった一因だと思います。
序盤、大学の教室で、コソコソするでもなく普通の(むしろ普通より高い)テンションでクズ話を繰り広げており、「宝は周囲から好青年判定されてる」的設定に対しての齟齬を感じちゃったんですよね。
また、「ウリの仕事してるから人の顔と名前覚えるのが得意」と「10回は会ったことのある相手の顔も覚えていない」とが、ストーリー展開の都合で並立してしまっており、細かい部分なれども細かい部分だからこそキャラクターの自立に関わると思います。

また、このページ数で上下に分け、かつ上巻末に読切が収録されているのは、二重に「一気に読めない」状態になって満足度が下がります。出版社側の問題ではありますが、かつて300ページ超えの本を出したこともある出版社ですし、これも1冊で出してくれた方が良かったな。
〜〜〜〜〜
同録読切は、BL原作のコミカライズをすることになった漫画家と、その親友。
ディルド作りが趣味という親友に、漫画の参考になるからと唆され…‥という話。
親友がどこまで狙っているのかがわからず、心情的に物足りなかったです。星3。
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