ボールアンドチェイン
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ボールアンドチェイン

南Q太

サレ妻、ザマア系の対極にあるお話

ネタバレ
2025年11月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ ボールアンドチェイン。調べてみたら、しがらみ 束縛 とかいう意味らしい。成る程と納得。
「普通はこうだ」という社会通念の「束縛」から脱却して、「自分の愛せる人生」を探す二人の主人公の物語。
この作品が優れていると思うのは、タイトルを大きな視点で描いている所。
主人公サイドだけではなく「ちゃんと」描いている。

あやも、けいとも、夫、婚約者に対して結構ヒドイ。
合わないから婚約者と別れるにしても、けいとの態度は誠実なものではない。慰謝料100万で済んで、別れ話が長引かなかったことはラッキーな事。
あやの新婚時のエピソード。半年同衾拒否で、外に逃げ出されたことは、旦那の心に大きな傷を残しただろう。
結婚生活がうまくいかなかったことを、旦那のせいだけにする事はできない。
ネットに吐き出した旦那の本音は、旦那サイドのボールアンドチェイン。

人間は、誰もが主観で生きていて、自分の痛みを大きく感じ、相手の痛みに対して鈍感である。
かといって、相手を思いやって、過度に罪悪感を持ったり、我慢するのもなんだか違うわけで。
あやが逃げ出すのも、旦那が浮気に走るのも、けいとが浮気して婚約破棄するのも、それぞれの経緯があり、各々感情があるから仕方がない。自分を抑圧すると壊れてしまうし、
何より不幸なだけだから。

昨今流行りの?サレ妻や、ザマア系の対極にある話だなと、ザマア系が苦手な私にクリティカルヒットしました。
人生そんなに単純じゃない。(不倫を肯定しているわけじゃないよ)
自分は性的マイノリティではないけれど、けいとに共感する部分は多いし、あやの人生、カウンセラーやゆみこさん、はるかパパなどのセリフに感じ入ったり、色々考えさせられるお話でした。
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