櫻狩り
」のレビュー

櫻狩り

渡瀬悠宇

不気味な洋館の主人と少年、ふたりの子ども

ネタバレ
2025年11月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ ある洋館に、一人の少年がやってきたことで秘密を抱える人たちの正体が次々に暴かれていく話。
描写は加虐や暴力、レ○プなど過激ですので苦手な方はお勧めしません。そういう部分は承知の上で、物語が気になったので購入。
本来、クライマックスにかけてそれぞれの秘密が顕になり盛り上がっていくというところが、後出しジャンケンの連続のようでややうんざりしてしまいました。
それに拍車をかけるようにあとがきも饒舌。

最後の秘密の暴露、字面のままの”種明かし”
ようやとそうまが不憫で仕方ないです。

最後の種明かしによって、洋館の主人と主人公のBL物語ではなく、不気味な洋館の二人の子どもたちの物語へと一変し、一気にもともとあった周囲の大人たちへ嫌悪感が倍増。気持ち悪いが振り切りました。

登場人物たちについて
見ず知らずの貧乏人に仕事と家を与え、給金もしっかり渡す。身体と引き換えという条件に多額の兄の借金も出してもらって…。それなのに、いざ身体を差し出すとなるとやめたいと…。覚悟足りなくない?
でも自分の受験を諦めるという選択肢は一回もでてこない。主人公もなかなか図太いなぁと。
また、登場人物の加藤に一番腹が立ち、苛立ちました。父親として…なんて気持ち悪すぎ。なにを思っていたのか後味が悪いです。
加藤もまた当主と同じで愛したのはその女だけで、子どもには女ほどの愛情がなかったのでしょう。
当主は攻めを後継のために呼び寄せ、加藤は復讐のためにようやを育てたといったところでしょうか。
最後、攻めを刺すのは死後の世界でようやといっしょにいてくださいってこと?ようやを保護させるためだけに生かしておいたので用済みってことで刺した?
加藤自身の復讐か?
義兄の情事まで写真に撮って、息子に見せるのは単純に気持ち悪い。そして、母を殺したのは義兄であると伝える。
善悪もわからない幼い息子を巻き込んで、自分の復讐に利用しているようで。
外国から呼び寄せて、後継の教育はさせるけど守ったりはしない当主。

あの最後の暴露ひとつだけで、話の印象がこんなに変わるとは思ってもいませんでした。全員が欲望のままに生き、破滅していったという印象。
嫌いな話ですけど記憶に残りました。
時が経ち、読み返せば違う感想を抱くかもしれません。
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