八百万黒猫速報
」のレビュー

八百万黒猫速報

浅井海奈

警察設定じゃない方が好みだった

ネタバレ
2025年11月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻249、2巻263ページ。
主人公・敵役ともに、立場は違えど「人と妖のはざま」に位置しており、その差や葛藤が良かったです。
主人公はその位置を選び、敵役はその位置に否応なく置かれている、というのが大きな立場の違いです。そういうの好き。
絵も魅力的。
警察という設定にしてしまったのが個人的には大きなつまづきで、組織的にどうなってるんだとか主人公がどうやってそこに入り込んだのかとかが気になってしまって入り込めませんでした。探偵設定とか退治屋設定など、大きな組織ではない局所的な話の方が良かったな、という惜しい気持ち。大火事を起こすような妖を敵役に持ってきてしまったのも、バランスが悪かったように思います。バトル要素と妖がらみの人情要素が、うまく噛み合わなかった印象。
個々のキャラクターの掘り下げも自分には足りませんでした。

文明開花の頃を舞台に、妖と人間が対立、妖を取り締まる警察がある……という設定。
妖との共存や、妖「だから」悪いわけではない、という基本理念に異論はありませんが、警察も民衆も「妖」をひとくくりにして行動している感じがちょっと極端であまり好みではありませんでした。民衆は妖に妙に怯えてるし、警察は無害な妖にも容赦がない。
冒頭で「豆腐小僧、逃げてーーー!」って警官との間に割って入りたくなってしまった人間としましては、民衆側に妖の味方がもっといてもおかしくないよな、というのが根本にある。そして、妖を差別問題の戯画化としているのならば、害を為す妖とそうでない妖はきちんと分けて考える方が好みです。
いいねしたユーザ2人
レビューをシェアしよう!