ビッチなスズキくん
」のレビュー

ビッチなスズキくん

重い実

作者買いです

ネタバレ
2025年11月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ トラウマ持ちの受けと、受けをトラウマごと愛する攻めのカップルが2組登場します。

大学生の須崎×フリーターのスズキがメインで、その2人がバイトするコンビニのオーナー×店長がサブカプ。メインが表社会なら、サブは裏社会といった様相。
どちらのカプにも関わってくるのが堺という大学生。同じコンビニでバイトする彼は、北海道の大自然に抱かれてスクスク育った感じの朴訥な人。堺は店長を好きになり、スズキは堺を好きになり、須崎はスズキが好きで、オーナーは店長が好き。一方通行の思いが渋滞する事態になりましたが、この渋滞を斜め上の展開で解消してしまう重い実先生。全員がベストな状態に収まって良かったです。

作中でスズキの過去には度々触れられていて、彼のトラウマは大好きな母との思い出でもあり、絶対に手放したくないから癒す気もないのだと思いました。
母に捨てられた後、しばらく一緒に住んでいた母の元彼のカナダ人に偶然会ったシーンは秀逸でした。2人が会った瞬間だけ時間が巻き戻るとかいうレベルじゃなかった。スズキは今も過去に囚われたまま、過去を生きているんだなと思いました。

その再会を傍で見ていて色々察した須崎は、スズキを変えようとするでもなく、ただ着々とスズキ包囲網を整えて逃げられないようにして、その囲いの中でスズキが亡くなるまで鬼ごっこを続けました。追いかけるほど逃げるスズキがたまにチラッとこちらを見る、それが自分に縋りついているようにしか見えなくて、須崎はそれをたまらなく愛おしく思っていたのかもしれません。最愛の人を亡くしてしまったけれど、須崎はスズキの勝ち逃げに心から満足していることでしょう。それが何よりの愛の証だと知っているから。
いいねしたユーザ7人
レビューをシェアしよう!