まんがグリム童話 吉原悪の華
」のレビュー

まんがグリム童話 吉原悪の華

岡田純子

中途半端な「悪」

2015年7月29日
前作の「華の乱」の主人公は、「中途半端な善」でしたけど、今作の主人公は「中途半端な悪」…。主人公だけでなく、脇役たちの行動も唐突でおかしいし、主人公の仕返しやら何やらも中途半端だから全然スッキリしない。それなのに「頭が切れる悪い女」みたいに作者が持っていこうとしているものだから、「え?どこが?」と失笑してしまう。悪の華と名付けるだけの魅力が無い。前も思いましたが、キャラクター設定がハッキリ定まっていないんですよね。「悪女」として生きる覚悟や潔さ、哀しさも感じない。だから主人公に感情移入できない。行き当たりバッタリで迷走している感じ…。あと、性行為のシーンや罰のシーンの描写、擬音がいちいち痛そうな上に下品で、インパクトと勢いだけで見せ場を作ろうとしているものだから、嫌な後味しか残らない。本当に、題材は良いのに、作者の魅せ方が下手くそで、惜しいなー…と思います。善を描いても悪を描いても下手。こういう物語を書くのに向いてないのではないでしょうか?
いいねしたユーザ3人
レビューをシェアしよう!