ライオンハーツ【単行本版】
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ライオンハーツ【単行本版】

三田織

高校生CP2人をとりまく社会

ネタバレ
2025年12月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ あまりにほのぼのとした表紙で、とんとんとうまく進むやさしいお話かな、と思ったら、現実に打ちのめされる高校生のお話でした。
獅子丸はずっとずっと、10年間も礼央への気持ちに蓋をして、その気持ちに気づいてはいけない、と思っていたのに、礼央から気持ちを打ち明けられ夢のような日々だったのに、ある事がきっかけで礼央を拒絶します。

ある側面ではBLの高校生CPには命題的な世間の目、優しくない社会が2人の前に立ちはだかって、まだ未熟で頼る人もいない獅子丸には、こうしか出来なかったというのが分かります。対する礼央は、気持ちを蓋をする必要がない環境というか、本人の性格で心のままに好きでいて、突然の獅子丸の態度になす術もなく打ちひしがれ…
こういう時に、綺麗事でなく人を思う気持ちに性差があってはいけないな、とつくづく思います。礼央の同級生の女の子が、獅子丸のことを「加害者」だと断罪しましたが、知らず知らずのうちに人は社会から少しでもはみ出さないよう過ごすのはよくあることで、その気持ちから多くの事を自分に制限をかけ、がんじがらめにして、何が自分にとって大切かを見失ってしまっているかを考えました。それでも、一度の過ちを「ごめんね」と許してあげた女の子が、間違っても気がついたら軌道修正すればいいんだと、それが許される場所もあるんだと、心が温かくなりました。

10年分の想いは、あるべきところへ落ち着き、辛くなったら逃げたっていいし、でも、2人で乗り越えていけばいい、とまだ若い2人が少し成長した姿に、こちらも前向きな気持ちにさせられました。
別に社会や偏見と1人で戦わなくても、周りにはかならず、あなたを想ってくれてる人がいるんだよ、と気づかせてくれる作品でした。
途中、礼央がライオンにさようならをした時、あの絵本を思い出しました!素敵な絵本のライオンにそういえば礼央の書くライオンも似ていて思わずにんまりしましたよ♪
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