佐条利人の父とその部下
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佐条利人の父とその部下

中村明日美子

星5つでは足りない!

ネタバレ
2025年12月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 素晴らしいクリスマス・プレゼントを貰った気分です。本当は一週間後発売の下巻を読んだ後にレビューするべきなのでしょうけど、待ちきれませんでした。

お父さんのお話し、部下からカミングアウトされて… と作品紹介にありその内容を多々考え不安に思ったりもしましたが、実際の作品は私の貧弱な想像の遥か上で、本当に素晴らしいです。シリーズの物語としてもそうですが、同性愛者に対する理解を深める入門書としても実に有効的だと思います。お話しのテンポも良くユーモアも混ざり大変楽しく読めました。

息子が同性と結婚し、世の中に数多く存在する同性愛に対する無意識かつ無遠慮な差別的な考え方に敏感になったお父さんの姿を見ることで、私達は彼がご祝儀を届けた結婚式の後に色々と熟考した事を知ることが出来、また彼の利人に対する愛が判る見事な始まりです。そして物語は直ぐに本題へと移行。部下の突然のカミングアウトとにより、父親自身が『同性愛』に直面。『君ら』『俺ら』という言葉の選択によりゲイ/非ゲイ両側の線引き、差別意識が明確化されるのがとても良いです。差別しているつもりなんて無いけど、そこには分かり易いグループ分けがあり、自分達とは違うと考えている、と問題の深さを垣間見れます。部下と言い争っている時に登場する利人&草壁のカメオ出演及びスピン元との関連、最高です。お父さんは2丁目で若い男と手を繋いで何をしているの?笑 私は『うちのヒゲ』にも是非会いたかったです、下巻で会えるかしら?そして草壁とお父さんの会話、本当に優しくいい人達ですね、この2人。部下の心からの言葉には強い勇気を感じ、そしてそれをそのまま受け止めるお父さんは人として大変格好良かったです。その後の2人の性的な展開も実に『なんだこれ』なんですが自然と受け入れられ、同性愛ってそんなに特別なものでは無くて誰もが思う以上に日常的かつ身近なものなんだと教えてもらった気分です。上巻の最後は不穏な展開での終わりですが、あのお父さんなので何も心配はないでしょう。佐条利人の父はきちんと頭を使い、ものを考える人ですから。
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